筒井潤の『墓地の上演』が「KYOTO EXPERIMENT」にて上演されます。
筒井は、社会・政治・歴史が複雑に絡み合う構造と、そこに潜む空白を綿密なリサーチと鋭い洞察によって浮かび上がらせる稀有な作家です。今作では、特異な構成の公演によってメディアとして演劇の可能性を追求しつつ、過去の戦争を観客とともに現在地から照射します。ぜひご注目ください。
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筒井 潤
『墓地の上演』
大文字の「国家の歴史」に抗う
個人の戦争体験と記憶のアーカイブ
戦後80年の今、舞台芸術はいかに戦争の記憶を継承し、他者との対話の場を拓きうるのか。公演芸術集団dracomを率いる筒井潤が、大阪市の旧真田山陸軍墓地をめぐるリサーチとヒアリングを重ねて2024年に発表した演劇『墓地の上演』は、その嚆矢となる実験的な試みだ。
1871年に設置された国内最古にして最大の陸軍埋葬地には、軍と戦争に関わった人びとの約5000基の墓碑と5基の合葬墓碑、そして8000以上の遺骨が納まる納骨堂がある。ここから殉国や英霊の大義とは対極にある「個人の記憶と記録」を掬い上げ、6つの短編を創作した筒井。時代は西南戦争後から現代まで。わたしたちは断片的ながら、個人史を通した近代日本の歩みを目撃することとなる。
本作の上演構造は特殊で、短編の上演順は観客が引くクジで決定し、「観客参加の対話」の時間を挟んで、もう一度上演が行われる。それも各回5編のみが上演されるため、常に見落とされる物語が出てしまう。「語られ方」を恣意的にずらすことで、観る人の印象を揺さぶっていく本作は、歴史における「語りの危うさ」への問題提起にもなることだろう。
日時|10月9日(火)-10月13日 (月)
10月9日(火) 18:00
10月10日(金) 18:00
10月11日(土) 13:00
10月12日(日) 18:00
10月13日(月) 15:00
会場|THEATRE E9 KYOTO
上演時間|180分
料金|
一般:¥3,000
ユース(25歳以下)・学生:¥2,500
高校生以下:¥1,000
ペア:¥5,500
言語|日本語(英語字幕あり)
注意事項|上演中に観客との対話の時間あり
定員|50名以下